- コラム
属人化が気になり始めたとき・・・最初にやること

「うちの生産計画、属人化している気がする」
明確なトラブルが起きているわけではないけれど、
引き継ぎのしづらさや、特定の人への依存が、
少しずつ気になり始めている――
そんな状態の方も多いのではないでしょうか。
この違和感は、組織が成長し、より効率的な運用を求められている「前向きなサイン」です。
しかし、ここでの「一歩目」を間違えると、これまで知見を築き上げてきた担当者の反発を招いたり、実態に合わない仕組みを導入して
形骸化させてしまうリスクもあります。
いきなり「属人化を解消しよう」とする前に
属人化が気になり始めたとき、
つい「属人化を解消しなければ」と考えてしまいがちです。
しかし実は、
いきなり解消に動き出すこと自体がリスクになることもあります。
なぜなら多くの場合、
- 属人化していること(状態)
- それによって困っていること(問題)
この2つが、はっきり切り分けられないまま議論されているからです。
属人化は「悪」ではなく、磨き上げられた「職人技」
まず大切にしたいのは、属人化とは、ベテランの経験に基づいた「高度な判断」によって現場が支えられている状態だということです。
- 「長年の勘で、トラブルを未然に防いでいる」
- 「複雑な制約を頭の中で組み合わせて、最適な計画を作っている」
これらは本来、称賛されるべき職人技です。それにもかかわらず「問題だ」と感じ始めるのは、
その貴重な判断のプロセスが、組織の「資産」として残っていないからではないでしょうか。
【重要】最初にやるべきことは「解消」ではなく「言語化」
属人化が気になり始めたとき、最初にやるべきことは、
属人化をなくすことではありません。
やるべきなのは、たった一つです。
「属人化していることで、今、何に困っているのかを言語化すること」
ここを飛ばして対策を急ぐと、担当によっては「自分の仕事の価値を否定された」と感じたり
実態に合わない仕組みを押し付けられたりと、少しずつズレ始めます。
属人化によって起きやすい「困りごと」
多くの現場で見られるのは、次のような状態です。
1. 再現できない(再現性の欠如)
- 同じ条件でも、別の人が同じ計画を作れない
- 担当者が変わると、結果が変わってしまう
これは「属人化が悪い」のではなく、再現性がないことが困りごとです。
2. 説明できない(透明性の欠如)
- なぜこの順番なのか説明できない
- 上司や他部署に判断の根拠を示せない
困っているのは、判断の理由が共有できないことです。
3. 変更に弱い(柔軟性の欠如)
- 特急や遅れが出るたびに混乱する
- 対応が特定の人待ちになる
これは、変更時の考え方が整理されていない状態とも言えます。
4. 改善できない(評価の欠如)
- 計画の良し悪しを評価できない
- 比較や振り返りができない
つまり、改善の土台がないことが困りごとになってます。
そして共通して起きていること
これらの困りごとをたどっていくと、
多くの場合、次の点に行き着きます。
- なぜそう判断したのかが記録されていない
- 後から見返しても意図が分からない
- 引き継ぎのたびに、また一から説明が必要になる
判断は日々行われているのに、その理由が組織の中に残っていない。
この状態こそが、属人化の核心と言えます。
属人化とは「判断が資産になっていない状態」
こう整理すると、属人化の見え方が変わってきます。 属人化の正体は、特定の人が判断していることそのものではなく、
「適切な判断や、意思決定の理由が、会社の資産として残りにくい状態」を指します。
その結果、ノウハウが積み上がらず、同じ判断を何度も人が悩み、改善のサイクルが回らないという状況が生まれるのです。
「判断の背景」が残れば、現場はもっと強くなる
属人化をなくすことを目的にするのではなく、「判断の背景がデータとして蓄積される状態」を目指す。
そうすれば、誰でも一定の基準で計画が作れるようになり、ベテランはさらに高度な改善活動に時間を割けるようになります。
だからこそ、最初に確認したいこと
属人化が気になり始めたとき、
最初に確認しておきたいのは、次の点です。
- 今、現場では「どんな判断」が行われているのか?
- その判断理由は、後から見返せる形で残っているか
判断を減らすことや、やり方を大きく変えることは、この整理ができてからでも遅くありません。
まとめ
属人化は、すぐに解消すべき「悪者」というよりも、
「特定の担当者の知恵や考え方が、十分に共有・蓄積されていないことを教えてくれるサイン」と捉える方が、
組織にとっても担当者にとっても建設的な業務改善になります。
属人化をなくすことを目的にするのではなく、判断の背景が自然に残る状態を目指す。
その第一歩として、まずは「何に困っているのか」「何の理由が残っていないのか」を
整理するところから始めてみてはいかがでしょうか。
もし今回の内容を読んで、
- 自社の場合、どこが困りごとなのか整理したい
- 判断理由がどの程度残っているのか、正直よく分からない
と感じた方は、一度立ち止まって考えを整理するだけでも十分意味があります。
スカイディスクでは、「属人化を解消するため」ではなく、
「暗黙知になっている判断軸をどう資産として残していくか」という観点で、生産計画の整理をご相談いただくケースもあります。
無理に何かを決める必要はありませんので、思考を整理する場として、必要に応じてご活用ください。
私たちは、単なるツールの提供者ではなく、貴社の現場に眠る「貴重な判断」を次世代へつなぐパートナーでありたいと考えています。

