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【製造業】納期に間に合わない原因と対処法を解説

【製造業】納期に間に合わない原因と対処法を解説

製造業では納期を守るために生産計画を作成し、生産を行っています。しかし、さまざまな要因で納期遅れが発生してしまう企業も珍しくありません。

今回は納期に間に合わない原因と対処方法を解説します。納期遅延や納期管理に悩む方はぜひ参考にしてください。

納期管理の重要性

納期管理とは「顧客の要求する納期に間に合うように、生産計画を作成し、部材の調達や在庫、現場の進行を管理すること」です。では、なぜ納期管理が重要なのでしょうか。

一般的に、多くの製造業企業はサプライチェーンの一部を担っています。サプライチェーンは川上の企業が川下の企業へ製品を納品することで構成されていますが、その中の一つの企業でも納期に遅れてしまうと、最終的に消費者が求める時期に商品を提供できなくなります。

そのような背景から、取引先の多くは納期を守ることを強く求めるようになっています。納期の遵守率が悪い場合は、企業の信用問題に関わります。そのため、適切な生産計画を作成し、生産に必要なタイミングで部材を調達し、製造現場に遅れが出ないように管理する納期管理は、企業にとって非常に重要な意味を持ちます。

製造業で納期に間に合わなくなる原因

納期の重要性について分かっていても、納期遅れが発生することはよくあります。
ここでは納期遅れが発生する原因についてまとめました。

原因1 需要の変動

納期に遅れてしまう原因の一つに需要の変動があります。多くの企業の場合、顧客から注文が来てから生産に着手していては、指定される納期に間に合いません。そのため、需要の予測をして、あらかじめ生産の準備をするケースが多いですが、需要変動が大きいと予測が外れてしまい、納期に遅れる可能性が出てきます。

また、取引先から内示という形で予定の生産数を提示されている場合でも、直前に内示の変更がされたり、変更量が大きかったりすると、生産が間に合わないケースがあります。

原因2 適切な製造指示が出せない生産計画

製造業では生産計画を作成してから、製造予定の品目や予定生産数などを記載した製造指示書を現場に発行するのが一般的です。その際に指示書の基本になる生産計画を適切に作成できないと効率の悪い生産になってしまい、納期に遅れが出てしまいます。

さらに特急オーダーや何らかのトラブル発生などで、生産計画の見直しが必要なケースも多くあります。しかし、Excelなどで生産計画を作成している場合、即時に変更対応ができず、適切な指示が出せない場合も珍しくありません。

原因3 リソース不足

納期に遅れてしまう原因としては、社内のリソース不足も考えられます。リソース不足とは、製造現場が持っている設備や人員といった生産能力に対して、需要が大きいことを意味します。生産能力を超える需要があれば、当然のことながら生産に遅れが出てしまいがちです。

それを防ぐために事前に設備投資や人員の補充を計画できればよいですが、先述のように需要変動が大きいとリソースの計画を適切に作成できません。結果として限られた生産能力でやりくりしなければならず、納期遅れが発生する原因になります。

原因4 材料・部品の欠品

実際に製品を作るためには材料が無くてはなりません。その材料や部品の欠品も納期遅れを発生させてしまう原因です。

材料や部品は生産開始に間に合うように先行して発注するのが一般的です。しかし、手持ちの在庫と製造予定数から不足部品を計算して、調達にかかる期間なども考えながら適切に部品を手配するのは容易ではありません。

製品を構成する部品は多いもので数百点という場合もあります。そのため、計算に間違いがあったり手配ミスがあったりすると、いざ生産に着手しようにも部品が欠品しているため着手できないケースがあるのです。

原因5 不良率が高い

不良率が高いことも納期遅れを発生させる原因です。不良率の高さがなぜ納期遅れにつながるのでしょうか。不良品が多い製造現場というのは、たいていの場合、製造時間が予定よりも長くなります。製造時間が想定よりも長くなれば、生産が思ったとおりに進まないため、納期遅れにつながってしまうのです。

また、良品となっているものでも、最終的に検査工程などで手直しが入っている場合は注意が必要です。手直しが必要になると、作業工数が想定よりもかかってしまいます。そのため、ムダな作業工数がかかっていることも納期遅れにつながる原因です。

納期遅れの対処法

ここまで納期遅れが発生する原因について見てきました。
では、納期遅れに対処する方法には、どのような方法があるでしょうか。ここでは対処方法を解説します。

対処法1 生産計画の最適化

生産計画をもとにして生産が進行するため、計画を最適化すれば納期遅れを解消することにつながります。しかし、生産計画を適切に作成するのは簡単ではありません。

たとえば効率よく生産しようと一つの品目をまとめて生産しようとすると、その間ほかの品目は生産できません。それを防ぐために、複数の品目を小分けにして生産しようとすると、今度は段取り替えの回数が増えてしまい、効率が落ちるばかりか、かえって納期遅れにつながりかねません。

そのため生産計画を作成するには経験が豊富で現場を熟知している必要があり、生産計画の作成業務は属人化しやすいのです。

近年ではそのような問題を解決するために生産スケジューラを導入する企業も増えてきています。生産スケジューラは生産計画を自動化できるシステムであり、属人化を解消できるばかりか、計画の最適化にも貢献します。

対処法2 リードタイムの短縮

リードタイムの短縮も納期遅れの解消には効果的です。リードタイムは生産リードタイム、開発リードタイム、調達リードタイム、配送リードタイムに分かれますが、納期遅れを解消するためには、4つの中でも生産リードタイムと調達リードタイムを短縮することです。

生産リードタイムの短縮は効率的な作業方法や段取り回数の削減などを追求していくことで達成できるでしょう。また、調達リードタイムは調達先の企業とうまく連携することが大事です自社の生産計画を早めに通達して、取引先が部材をすぐに発送できる体制を整えてもらうなどの対策が考えられます。

生産リードタイムの短縮については、こちらの記事で詳しく解説しています。
「生産リードタイムを短縮する方法|短縮するメリット・注意点も解説」

対処法3 製造現場の見える化

納期遅れにつながる間接的な要因として、製造現場の進捗状況が分かっていないことが挙げられます。生産の進捗状況やトラブルの発生などを把握できなければ、適切な納期管理はできません。そのため、製造現場の日々の生産実績や中間在庫などの状況を把握することで、納期遅れを解消できるでしょう。

製造現場の見える化は、生産計画を作成する際にも役に立ちます。各工程や人員、設備などの負荷状況が分かる仕組みになっていれば、生産能力がオーバーするような需要があった場合に、前倒しで生産したり応援を頼んだりといった対策を取ることが可能になります。

対処法4 部門間で情報共有を行う

ものづくりは営業や製造、生産、購買などさまざまな部門がかかわっています。部門間で密な情報共有を行っていなければ生産にムリやムダが生じ、結果として納期遅れにつながります。そのため、部門間で受注量や在庫情報などの共有を行うことで、納期遅れの対策になるでしょう。

たとえば営業部門が工場の負荷や在庫状況を正確に把握できていれば、顧客に対応可能な納期回答ができます。これにより、余裕のある生産計画を立案でき、納期を守ることにつながるのです。

納期管理にはシステムの活用が効果的

納期管理には、生産管理システムやERP、生産スケジューラといったシステムの導入が効果的です。

生産管理システムやERPにもさまざまな機能がありますが、生産管理システムなら材料や部品の調達を管理できる機能が納期管理に有効です。手持ち在庫と今後の生産数から必要な部品量を計算するため、部品の手配ミスなどがなくなります。ERPは各部門のデータを一元管理できるため、部門間の情報共有が密にできます。

生産スケジューラなら正確なスケジューリングができるほか、現場のリソースに見合った計画を立案できます。また、工程間でスムーズに部品移動ができるようなスケジューリングや工程の流れを意識したスケジューリングをすることも可能なので、納期遅れの解消につながるでしょう。

システムを活用した納期管理の事例

ここでは、生産スケジューラである『最適ワークス』を導入して納期遵守率を向上させた事例を紹介します。

ある紙加工品メーカーは工程ごとに生産計画を作成しており、全体の生産スケジュールが把握できないこと、そのため納期時期の予測が難しいことが課題でした。それらの課題を解決するため、生産工程全体の流れを見える化できる生産スケジューラ『最適ワークス』を導入します。

その結果、全体の生産スケジュールが把握できるようになり、工程ごとに必要な設備や人員までより明確になったため、より正確なスケジュールが分かるようになりました。そのため、販売部門が注文を受ける際に、納期に間に合うかどうかの判断が正確にできるようになったため、納期遵守率が向上したのです。

ご紹介した事例の詳細な内容は、こちらでご覧いただけます。
最適ワークス導入事例「個別受注に対応できる生産スケジューラで、生産ライン全体の流れを把握したい」

まとめ

納期遅れは会社全体の信用問題にもつながるため、納期管理は製造業企業にとって重要です。

納期遅れにつながる原因には、リソース不足や不適切な製造指示、材料の欠品などがあります。それらを解消するためには、生産計画の最適化や製造現場の見える化が不可欠です。
生産スケジューラを活用すれば、そのいずれも叶えることができます。納期管理に課題を感じているのであれば、ぜひ産スケジューラの導入を検討してください。