- コラム
エクセルがあれば生産スケジューラは不要?エクセルのメリット・デメリット等を解説
生産管理の中でも特に重要な業務が生産計画です。
生産計画は生産管理システムやERPでも作成できますが、エクセルを使用するケースも多くあります。
今回は生産計画をエクセルで管理するメリットやデメリット、生産スケジューラの特徴などを解説します。
生産計画はなぜ必要なのか
製造業では工場の運営に当たって、生産計画がとても重要な役割を果たします。なぜなら、生産計画の精度によってQCD(品質・コスト・納期)が決まるからです。
顧客からの注文内容によって、納期や注文量は異なります。生産計画を立案する際には、納期の違いによって生産に着手する順番を入れ替えたり、注文量によって必要な生産数を算出したりしているのです。
では、生産計画を立てなかった場合、どうなるでしょうか。生産計画がなければ、生産の優先順位や必要な生産量を把握できないことになります。そのような状況では、納期遅れが頻発し、在庫も過剰になったり不足したりしてコストの増大につながることも容易に想像できるでしょう。
そういった非効率な状態を防ぎ、顧客の求める納期やコスト、品質に応えるために生産計画を作成することが必要なのです。
生産計画をエクセルで管理するメリット
生産計画の作成や管理をエクセルで行っている企業も多いことでしょう。生産計画は生産管理システムやERPでも作成はできますが、エクセルにあるメリットを紹介します。
メリット1 導入コストがかからない又は安価
エクセルを使用するメリットとしては、導入費用があまりかからず安価といった面が挙げられます。生産管理システムやERPなどのITシステムを導入する場合、種類にもよりますが、一般的には数百万円以上のコストがかかるものです。
しかし、エクセルであればそれよりも安価に導入できます。さらに一般的なITシステムのように導入の際に要件定義などの導入プロジェクトを行う必要がないため、プロジェクトにかける人件費も削減することが可能です。
メリット2 教育コストがかからない
エクセルは多くの人にとって使い慣れたツールと言えます。通常のビジネスで使用するのはもちろん、学校や個人でも使っている人は多くいます。そのため、生産計画でエクセルを用いる際に、今いる社員や新入社員に新たに教育をする必要があまりなく、社内での訓練工数が削減できるというメリットもあります。
エクセルは操作方法を解説した手引書や解説書が多く出回っているため、分からない部分があれば個人で調べて容易に習得することができるものです。多くの人が同じようなレベルでツールを使いこなせるのはエクセルにしかない特徴でしょう。
メリット3 マクロで自動化できる
生産計画は月次や日次で作成するものですが、中には定型的な入力や操作が含まれています。入力時にヒューマンエラーが発生しないようにマクロを使用すれば定型的な操作を自動化でき、操作ミスを減らすことができます。
たとえばガントチャートや資料の作成時に図やグラフを入力する場合、マクロを組んでおけば作業を簡略化させることができるでしょう。また、ショートカットキーも多様にあるため、操作の時短になります。
メリット4 他ツールとの連携がしやすい
エクセルは、他のシステムとの連携がしやすいというメリットがあります。生産管理の業務の中には生産計画以外に在庫管理や調達などの業務があります。
そのため在庫管理システムや購買管理システムから必要な情報を、CSV形式などでダウンロードできたり、反対にアップロードできたりします。他のツールの連携のしやすさはエクセル特有でしょう。
生産計画をエクセルで管理するデメリット
エクセルを生産計画に使用するにはデメリットもあります。
デメリット1 生産計画業務が属人化する
一番の問題点は、生産計画の業務が特定の社員に属人化してしまうことです。エクセルは扱いやすい反面、自由にカスタマイズできるため、複雑な生産計画を作成すると立案方法が特定の人にしか分からないといったリスクが考えられます。
たとえばマクロで自動化したり、複雑な計算式を組んだりすると、作った本人は分かっていても他の社員には理解できない場合があります。何らかの操作ミスで計算式を削除してしまうと生産計画が作成できず、業務が滞ってしまうことも課題としてあるでしょう。
デメリット2 ファイル管理がしにくい
エクセルで作成した計画表を社内のネットワークではなく、それぞれの社員のPCで保管していると、生産計画を共有できないといった問題点もあります。生産計画は生産管理だけでなく、製造や購買、営業部門とも共有する必要があるため、ファイル管理を怠ると納期遅延が起きかねません。
また複数人でファイルを作成していると、どれが最新の計画表なのかが分からなくなります。急ぎのオーダーが舞い込んだため計画を変更したにもかかわらず、古いバージョンのファイルしか現場に届いていなければ、トラブル発生の原因になります。
デメリット3 処理が重くなる
生産計画には製造BOMや設備、人員といったマスターデータとなる情報が必要です。さらに日々の計画を作成するためには在庫表や受注オーダーなどの情報も必要になり、それらのデータをすべてエクセルのシートに取り込むとデータ量が多くなるため、処理が重くなりがちです。
複雑な計算式を使えば精度の高い生産計画は作成できますが、データ量が重くなりエクセルファイルを開くのに時間がかかると業務を効率的に遂行できません。そのため、取り込むデータを取捨選択せざるをえないのもエクセルのデメリットです。
デメリット4 複数人で同時に編集することができない
生産ラインが多種多様にある企業では、生産計画も担当のラインごとに別の社員が作成している場合があります。そのため、複数人で同時に計画作成することになりますが、エクセルだと同時に編集できないというデメリットがあります。
クラウド環境を導入していれば同時編集はできますが、導入していない場合には他の人が作業をしている間は生産計画を作成したり見直したりすることができず、業務を効率的に遂行できません。
生産計画業務の属人化によるリスク
生産計画をエクセルで管理する最大のデメリットは生産計画の業務が属人化してしまうことです。属人化のリスクについてさらに整理しておきましょう。
リスク1 生産計画の品質低下
生産計画が特定の担当者にしかできないものになれば、その担当者が病欠や退職をしてしまうと生産計画の質が低下するリスクが考えられます。
生産計画は工場を運営するうえで肝になる部分です。質が低下すれば、納期遅延が頻発してしまい、顧客の信用を失う事態になりかねません。あるいは在庫量が過剰になったり、人員や設備といったリソースが不足したりするなどの影響も考えられます。
リスク2 生産性の低下
生産計画が属人化すると、作成するために必要な知識や経験が担当者だけのものになります。そのため、担当者以外は生産計画を作成することができなくなるだけでなく、生産計画そのものや生産計画業務に対する評価も誰も出来なくなってしまいます。
生産計画業務に対して正しい評価基準を作れない状態となるため、生産計画作成に非効率な点があっても分からないため、結果的に生産性が低い状態となる可能性があります。
生産計画業務に生産スケジューラを活用する利便性
生産計画を詳細に作成するためのツールとして生産スケジューラがあります。
エクセルや生産管理システムで生産計画を作成する場合、一般的には日単位の計画だったり、人員や設備のリソースを考慮できなかったりして計画としての精度が低くなります。しかし、生産スケジューラは無駄のない生産を実行でき、リードタイム短縮につながります。
また、マスターデータに設備や人員の情報を登録しておけば、生産能力や負荷状況を考慮した生産計画が作成可能です。精度の高い生産計画が作成できると納期遅延やコスト増大を防ぐ効果もあります。
さらに現場のさまざまな制約条件も考慮可能です。たとえば「設備や製品によって使用する金型が違う」「作業員によってできる製品とできない製品がある」といった現場特有の制約条件を加味したスケジュールを瞬時に導き出します。
ただし、生産スケジュールにもさまざまな種類があります。中には複雑なスケジューラもあり、高度な生産計画を作成するためにはマスターデータの設定やメンテナンス、操作に一定以上のレベルが求められます。
一方でシンプルな機能や操作で使用可能な生産スケジューラなら教育するコストも抑えられ、属人化もしづらいメリットがあります。最適ワークスの生産スケジューラは、AIを活用することで瞬時に計画を作成できるほか、マスターデータの設定も簡単なため、誰でも操作できる点が特徴です。
生産スケジューラに取っつきにくさを感じる方には最適ワークスのAI生産スケジューラがおすすめです。
生産スケジューラと生産管理システムの違い
生産管理システムでも生産計画が作成できるため、生産スケジューラとよく混同されます。
生産スケジューラと生産管理システムの違いは、対応する業務範囲と計画の精度です。
生産管理システムは生産管理の業務を網羅した機能があるため、対応できる業務範囲が広くなります。生産計画はもちろん、工程管理や購買管理、在庫管理、販売管理、原価管理などに対応できます。
一方の生産スケジューラは生産計画に特化したシステムです。さまざまな制約条件も考慮した生産計画が作成できるため、計画の精度がより高くなります。
生産スケジューラと生産管理システムについては、こちらで詳しく解説しています。
「生産スケジューラとは?導入メリット・導入の流れを解説」
「生産管理システムとは?機能・メリット・選び方のポイントを解説」
まとめ
生産計画はエクセルで作成することができ、「教育や導入コストがかかりにくい」「誰でも扱いやすい」などのメリットがあります。しかし、処理が重い、ファイル管理がしにくいなどのデメリットがあり、特に業務の属人化はリスクが大きいため避けなければなりません。
生産スケジューラで生産計画を作成すれば属人化を防げるほか、計画業務の効率化も実現できます。生産計画の立案に悩みを抱えている企業様は、システム導入を検討してはいかがでしょうか。
最適ワークスの導入で、誰でも均質な生産計画を作成、管理できる!
直感的な入力作業で製造工程をデジタル化する。
最適ワークスでは、特定の社員の勘や経験に依存することなく、製造条件や独自ルールといった制約条件を考慮した、最適な生産計画をAIが立案します。
具体的には、「どの製品を・何個・いつまでに」という受注情報(オーダー情報)から、設備・人員の最適な計画作成が可能です。
導入におけるメリット
・納期遅延を30%解消
・計画工数98%削減
・生産量10%アップ
・不良品・事故0件
・残業20%削減
AIが生産計画を自動立案!生産計画・管理のDXを支援する製造業向けSaaS。工場の生産キャパ・製造進捗を可視化。納期回答の精度向上、残業時間を削減など中小・中堅工場での業績改善をサポート。専任エンジニア不要で使える!圧倒的コスパを実現。