導入事例
Case study

挑戦し続ける100年企業が始めた『生産計画DX』とは

  • 株式会社サイダ・UMS
  • 産業用機器
  • (会社規模:50名未満)

生産計画を活用して、生産管理のPDCAを回していきたい


左から、代表取締役社長 斎田さま、 製造部部長 情報システム・企画開発部部長 藤浪さま



  • 課題
    • 現場管理者の作業負担
    • 生産計画業務の暗黙知の解消

  • 解決策
    • まずは一部の工程から最適ワークスでの計画立案に移行

  • 効果
    • 生産計画を軸にした効率的な生産体制整理への着手
    • ベテラン管理者しかできない計画立案業務の言語化、属人化解消
    • リソース分配の最適化による内製化率の向上

2021年に創業100周年を迎えた株式会社サイダ・UMS。漁業が盛んな静岡県焼津市で、船用のエンジンの部品を請け負う鍛冶屋からスタートし、40年前より工作機械のOEM製造の事業を展開。現在は、自社製汎用旋盤ブランド「VERSEC(ヴェルセック)」を立ち上げ、工作機械メーカーとして開発・販売を行っています。

DXに積極的に取り組む同社は、2023年3月より最適ワークスを導入しました。導入検討の経緯、生産計画DXやデータ活用への期待について、代表取締役社長の斎田様にお話を伺いました。

株式会社サイダ・UMS
代表取締役社長 斎田 匡男氏

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目的は現場管理者の負担軽減、属人化解消

導入検討したきっかけ

当社のマネージャー職は、半分以上が現場業務も担当しており、マネジメントとの両立が大きな課題です。ただ、ベテランにしかできない現場の仕事があることも事実で、そのうちの一つが生産計画作成です。生産計画は、急な変更が発生することが多く、長年の経験に頼って作成されています。
OEMの仕事は、我々の都合だけでは計画を決められません。様々な外的要因により材料の入荷が遅れる場合もありますし、お客様の都合で優先順位を入れ替えないといけない、特急の案件が入ってきた、といったあらゆる状況が起こります。

日々、計画の調整が必要になりますが、限られた人員だけで担当するのは、やはりすごく負担のかかる仕事です。
2021年7月当時は、「現場管理者の業務負担を軽減したい」と考えていました。そんな折にTECH BEAT Shizuokaというイベントで、最適ワークスに出会ったのが最初のきっかけでした。

生産スケジューラを導入し、管理者の負担が軽減できれば、そのリソースを本来の業務であるマネジメントに注いだり、外注していた仕事を内製化することもできます。一方で、生産スケジューラの導入はとても難しいという認識もありました。導入が成功した話をほとんど聞いたことがなかったので……どこまでできるのだろう?というのが正直な感想でした。

決め手は、導入ハードルの低さとSaaSであること

スカイディスクと出会った後、生産スケジューラという業界を知り、いくつかの製品を比較検討しました。
まず、クラウド型のシステムであることが重要な条件でした。この辺りは地震や津波がある地域なので、自社サーバーを構えるのはリスクです。すぐ近くに寺院がありますが、そこには江戸時代の安政の大地震で「津波がここまで来た」という資料が残っているほど。これからの時代、セキュリティのことを考えても、自社でサーバーを持つメリットはあまりないと考えています。

もう一つ、圧倒的に違ったのはコストです。他社製品を調べた際には、値段を見て正直これでは導入できないと思いました。IT導入補助金(※)も後押しして、提案の中で導入ハードルを下げてもらい、いわゆる買い切りのシステムではないので、まずは1年間、とにかく使ってみようと判断しました。

当社では、組み立てと加工の工程での導入を想定していますが、まず組み立て部分には十分適応できそう、という感触を持っています。

自社製汎用旋盤ブランド「VERSEC」は組み立て工程を社内で一貫生産

仕事を奪われる反発より、業務負荷軽減にポジティブな反応

組立作業の部署では、生産計画を立てるのが精神的に苦痛だという話をしていました。これは、作業者の重なりを考慮した組み合わせが無数に存在し、最適解を見つけるのに非常に頭を悩ませているからです。大変だし、すごく時間が取られてしまって他の業務ができない……それが改善するのは嬉しい限りなので、仕事を奪われるだとか、ネガティブな反応はなかったように思います。

当社のメンバーは、技術的に他の人ができないような仕事をやって、高い付加価値を生んでいます。人でないとできない仕事はまだ山ほどあって、一方で、製造業では誰でもできるような仕事を大量にやらなければいけない状況で苦しんでいる人も多い。だから、誰でもできる部分を楽にすることは、仕事を奪うことにはならないと考えています。
一方で、自分の業務がなくなるような心理的な抵抗感ももちろん理解できるので、そこをどういう風に伝えていくかというのは、今後も経営者としてすごく重要なポイントだと捉えています。

微小な凸凹やゆがみ部分を手作業で削る「キサゲ」は職人技

スモールスタートでの開発手法に期待

導入時に苦労しそうな部分は、社内のベテラン作業者しかできない暗黙知の部分を、いかに言語化するかです。その言語化するのが難しい部分を、システムにロジカルに落とし込んでいく必要があります。

最適ワークスの進め方は、まずは基本的なものを作り上げ、その後に当社固有の要素を言語化し、一つずつ積み上げてシステムを開発するという方針です。説明を受けた際に、非常に共感した手法でもあります。
以前に基幹システムを開発した際には、最初に作ったものが全く機能せず、全てを作り直す必要がありました。中小企業だと業務形態が頻繁に変化したり、さらに時代の変化も激しい中で、ウォーターフォール型で決めた仕様が完成時には古くなっている、なんてことが当たり前に起こります。なので、作りながら少しずつ修正していく手法に納得しました。また、現在、基幹システムの開発にも取り組んでいるのですが、こちらもアジャイル手法を前提として取り入れています。

苦労しそうな部分は期待することと表裏一体です。言語化できるのは当社の暗黙知なので、他社とは完全に区別されたノウハウです。言語化できれば、大きな財産になるでしょう。この手法で、私たちが求めるシステムを実現できるのか、すごくワクワクしているところです。

価値ある仕事に集中できる環境と挑戦の余力を

常に挑戦し続ける100年企業が、DXに取り組む理由

当社の100周年を機に、我々の強みは何か、お客様は当社をどのように評価しているのか、目指すべき道は何か……経営理念やビジョンを含めてすべてを見直し、再定義しました。
そこで掲げたビジョンに「本業に集中できる環境を構築する」があります。これまで手作業で行っていた物事は、属人的に成り立っている部分が多くあり、そのままでは業務効率は上がりません。

人がやらなくていい仕事は、人がやらなくていい。人は付加価値の高い仕事に取り組める、本業に集中できる環境をつくりたいと考え、現在はまず社内のデジタル環境整備に注力しています。

さらに、もう一つ大きなテーマとして「関わるすべてのヒトの時間の価値を高める」という未来ビジョンを定めました。この実現とはつまり、皆が幸せであることです。『幸せ』という言葉は難しいのですが、英語の「happy」を英英辞典で見ると、「having feelings of pleasure, because you are very satisfied with your life(自分の人生にとても満足しているので、喜びを感じること)」とあります。もちろん仕事以外で喜びを感じる瞬間も多いと思いますが、人生の大半は仕事をしている時間なので、その時間をいかに満足できるものにするかもとても大切です。

社員が働きがいを持てるよう、より価値の高い仕事に集中できたほうがいい。それは会社の利益に直結しますし、結果、社員に還元されます。会社の目標と社員の満足度を上げていくということは、イコールになるはずです。

また、新しい事業や新しい分野への挑戦する余力を確保する意味でも、DXや社内のデジタル化は重要だと捉えています。100年の歴史の中で柱となっている事業はありますが、常に、次の新規事業を模索する必要があります。その余力をつくるために、DXが絶対必要だと考えています。

まずはクラウドでの一元管理とデータ共有

社内のデジタル化を進めるにあたり、まずは環境構築から始めました。最初に着手したのは、社内の無線LAN化です。工場内のすべての場所で無線LANが通じる状態にしました。また、データのクラウド管理が重要であると判断し、我々は結果的にGoogle Workspaceを導入しました。これにより、メールやデータ共有などができる環境を整え、Googleスプレッドシートを活用して、離れた場所でも情報をリアルタイムに共有できる環境を整備しました。

現在取り組んでいるのは、社内の基幹システム開発です。これは生産管理を中心としたシステムですが、データの一元管理を目指しています。社内データ、個人的なメモ、エクセルファイルなど、基幹システムの仕組みを新しいものに更新することを通じて、データが一箇所に集まれば、活用のアイデアや手法は世の中に沢山あります。その中に、生産計画に関するデータ活用も含まれています。

もう一つは、社外向けのデジタル化です。Webを通じた顧客とのやり取り、コンテンツマーケティングやSEO対策、マーケティングオートメーションなど、ウェブ上での様々な取り組みを少しずつ始めています。

DX推進は、現場の声を聞くことから

クラウドでのデータの一元管理を進めたことで、すぐに必要な情報にタッチできることが増えました。少しずつですが検索性が上がって、今まで属人的な情報だったものが、担当者がいなくてもわかる場面が増えてきたと実感しています。
成果という意味では、意識改革の面も大きいです。会社が新しいことに挑戦する際に、共感する人を増やし、大きな波を作っていくこと。DXを進める上では重要な要素です。

DXの取り組みでは、経営者や上司が「こうした方が良い」と言っても、現場はそう思っていないことが多くあります。そこで意見を無視しても絶対にうまくいかないと痛感したので、まず現場はどう思っているか?どう変えたいのか?という意見を聞くことから開始しています。ただ、それだけでは新しい発想は生まれづらいので、私自身は「こういうツールがあるけど、どう?」と提案することで、新しい流れをつくるようにしています。どうしても一足跳びにいかないものなので、着実に進めていきたいと考えています。


工場内の大型ディスプレイから生産計画情報にアクセスできる

生産計画DXの先、強固なデータ連携

今後の展望

将来的には、開発している基幹システムとの連携を目指しています。基幹システムから生産予定が出力され、最適ワークスで最適な計画を作成し、基幹システムに戻すという流れを作りたい。その後、予実管理に利用したいと考えています。それによって、計画と実績の比較や、機械や従業員の稼働率など、データ分析までシームレスにつなげることを構想しています。
我々の目的は、「スタッフが本業に集中できる環境を作る」ことです。最終的には、他部署との円滑なコミュニケーション、強固な連携を目指したい、そこにシステムが活躍してくれることを強く期待しています。

新しいことの定着には、常々、成功体験を積み重ねることが重要だと感じています。小さな成功体験でもいいんです。何か少し楽になったり便利になったと感じること、それを積み重ねていくことで、だんだんと関心を持つ人が増えていきます。一気に大きな方向に舵を切る必要はなく、一つ一つを積み重ねていくような、良い流れを作っていきたいと思っています。

左から、スカイディスク代表 内村、斎田さま、藤浪さま、担当 川野

※ IT導入補助金…最適ワークスは、2021年度より補助金対象のITツールとして認定されています。一定の条件を満たした企業様は、最適ワークスの導入にかかる費用の最大150万円が補助金として交付されます(交付には審査があります)。
IT導入補助金は、自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助することで、中小企業・小規模事業者等のみなさまの業務効率化・売上アップをサポートするものです。
IT導入補助金 公式サイト: https://www.it-hojo.jp/

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企業情報

株式会社サイダ・UMS

株式会社サイダ・UMS

所在地:静岡県焼津市一色143-10/代表者:代表取締役社長 斎田 匡男/設立:1958年5月(創業 大正10年8月)/事業内容:工作機械、半導体製造装置、車載用電池製造ライン設備関連、その他、産業用機械の製造、自社製品(汎用旋盤VERSEC-neo等)の開発・設計・販売/従業員数:40名